AKITA雪国酵母の背景

 日本酒は米、麹および水を原料としたもろみ中で酵母がアルコール発酵することで造られます。特定名称酒である吟醸酒や純米酒は搾った直後は、果物の香りに例えられるようなフレッシュな風味と軽快な酒質ですが、酸素、光、温度などの影響を受けて徐々に変化していきます。
 このような日本酒の香りや味の成分(香味成分)の変化については、酵母や麹菌の代謝が要因の一つとして関与していることが、明らかになっています。特に紹興酒様と形容される「老香」、ヤギの体臭のような「カプロン酸」などの好ましくない香り(オフフレーバー)は日本酒にとって致命的な欠点となります。


 秋田の日本酒は全国的にも知名度が高く、平成29年の統計では「総出荷量」、「特定名称酒出荷量」、「純米吟醸酒出荷量」の3部門で東北1位となるなど、日本酒ブームを牽引しています。また近年、日本政府の政策として「國酒プロジェクト」が立ち上がり、日本酒の輸出を促進しています。しかし、海外輸出の際に輸送中に発生したオフフレーバーにより日本酒のイメージを低下させてしまうことが問題でした。そのため常温でもフレッシュさを維持できるような技術の開発が重要と考えられていました。そこで当センターではオフフレーバーの発生が少ない以下の2種類の酵母を開発しました。

AKITA雪国酵母について

AKITA雪国酵母(UT-1)

リンゴの香りに形容される吟醸香の一つであるカプロン酸エチルの生成量は親株(こまち酵母スペシャル)と同程度ですが、オフフレーバーのカプロン酸生成が少ない性質を有しています。

*特許「カプロン酸低生成酵母」(特許第6582275号)が、令和2年度東北地方発明表彰で文部科学大臣賞を受賞しました。

AKITA雪国酵母(UT-2)

バナナの香りに形容される吟醸香の一つである酢酸イソアミルの生成量は親株(秋田酵母No.12)と同程度ですが、オフフレーバーのムレ香の原因物質とされるイソアミルアルコールが少ない性質を有しています。

AKITA雪国酵母の商品化

 「AKITA雪国酵母」の酒造メーカーへの技術移転については、酵母の特性を活かした清酒製造法を酒造講習会(山内杜氏酒造講習会、秋田県杜氏酒造講習会)で周知することにより、着実に普及が進んでいます。


Link

秋田の日本酒が買える店を紹介 → → 秋田県酒造組合"http://www.osake.or.jp/
「AKITA雪国酵母」開発秘話 → → → デスクネッツ(AKITA雪国酵母特集ページ)https://www.furusato-pr.jp/specialty/akita/arif1.html

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